step3、Fコードと握力について


①「握力が弱い」という言葉の本当の意味

Fコードを押さえるのが無理な理由として非常に多く聞かれるのが「握力が弱いから」という言葉。ただその言葉は、ハッキリ申し上げると『自分は知識と努力が足りない』と同じ意味です。その理由は、下の動画をご覧いただければ一目瞭然です。

 

大山琉杏さんという方の演奏です。以下に簡単なプロフィールをご紹介します。※サイト『ピンフルエンサー』より抜粋


名前:大山琉杏(おおやま るあん)
年齢:13歳(2017年3月現在)
大阪在住
努力家で練習を怠らない

 

~抜粋ここまで~

 

動画の演奏の2つ目のコードがFです。現在は中学生の彼女ですが、ギターを始めたのは11歳からだそうで、その1年後には弾き語りが完璧に出来たということです。

 

11歳女性の握力の平均は20㎏に届きません。

②Fコードに握力が必要な理由

では、逆に考えてみましょう。なぜFコードを押さえる時に『握力が必要』と感じてしまうのでしょうか?その理由として考えられるものをいくつか挙げてみます。

 

 

【握力が必要な理由1】弦が硬い(太い)

 

アコースティックギターやエレキギターの弦は鉄などの金属でできています。ですから、当然素材は硬いです。ただ、太さ細くすること同じ材質でも柔らかくなり格段にコードが押さえやすくなります。

 

Fコードに初めて挑戦する場合、もっとも細い『Extra Light』の弦を張りましょう!

 

もし弦の種類や張り方がよく分からない場合は、楽器店で「一番細い弦に張り替えて下さい!」とお願いしましょう。

 

 

【握力が必要な理由2】弦高が高い

 

弦高とは『フレットの頂点から弦の下面までの高さ』のことです。フレットと弦の隙間とも言えますね。

非常に見辛くて恐縮なのですが、私のアコースティックギターのネック部分を真横から写した画像です。

 

弦高とは『フレットの頂点から弦の下面までの高さ』ですので、その部分に赤いラインを入れてみます(次の画像)。

すみません、赤いラインを入れても分かり難いですね。なぜこんなにアップで写した画像なのに弦高が分かり難いかと言いますと...

 

私のギターの弦高が非常に低いからなんです。

 

つまり、フレットと弦の隙間が非常に狭いということなんですね。このギターは、プロに依頼して調整を施してあります。その調整の中に『弦高を極限まで低くする』という作業が含まれていました。

 

ではなぜ弦高を低くするかと言いますと...

 

ギターが弾きやすくなるからです。

 

特に一度に複数の弦を押さえる必要があるコードは弦高が高い、つまりフレットと弦の間が広いとそれだけ余分な力が必要となってしまいます。

 

弦高が低い方がギターは圧倒的に弾きやすくなります。

  

ご自分のギターを上の画像のように真横から見てください。もし弦高が高いと感じたら、楽器店に持ち込んで「弦高を低くして下さい!」と調整を依頼しましょう。※アコースティックギターの調整にはかなりの代金が掛かる場合があります

 

 

【握力が必要な理由3】Fコードを押さえるとき手の力しか使っていない

 

Fコードは握力で押さえるのではなく全身の力を使って押さえるコードです!

 

次の項で詳しく説明していきます。

③Fコードは全身の力で押さえる

お恥ずかしいお話しですが、私の握力は40㎏に届きません。これは、同じ年齢層の男性の平均が約47㎏ということを考えると、明らかに握力が弱いということが言えます。

 

そんな私が全く問題なくFコードを押さえられるのは、Fコード攻略に強い握力は必要ないという証拠です。ではどうやって力の必要なFコードを押さえているのかというと...

 

全身の力を使っている

 

ということに尽きます。これは非常に大切なことなので、全身でFコードを押さえる方法を画像を使って細かく説明していきます。

 

まず、ギターが無い状態でFコードを押さえる姿勢をとってみます。エアーギターですね。

左手も空中でFコードの形を作ります(step2参照)。まず大切なのは、両足がしっかり床に付いていること。場合によっては片足を足台に乗せることもありますが、いずれにしろ足を安定させることが大切です。

 

その他、左手に関するポイントをどんどん挙げていきましょう。

 

【ポイント1】 脇を締める!

 

 

【ポイント2】 人差し指から肘までを一直線にする!

 

 

【ポイント3】 左手を後ろに引く!

実はポイント1ポイント2も、この力を込めて左手を後ろに引くという動作を最も効率的に行う為に必要なことなんです。

 

ただ、このまま左手を後ろに引き続けると、どんどん左手が背中の方まで移動していきますよね...

 

そこで必要になるのがギターです。

 

今度は左手を使わずにギターだけを使ってFコードの理想的な姿勢を見てみましょう。

ここで大切なことは、ギターを右足(クラシックスタイルの場合は左足)に立てて乗せるということです。

 

それでは、ギターだけでFコードの姿勢をとった時のポイントを挙げていきましょう。といっても、ポイントは1つだけです。

 

【ポイント】 腰と右手を使ってギターを右回りに押す!

足は固定し腰から上をギターと一緒に右回りに回すように押すのがポイントです。

 

この時、右手の力も加えます。下の画像のように、右手の肘を使ってギターを後ろに押すことでより強く安定してギターを右回りに回すことが出来ます。

 

しかし当然、そのままギターを右回りに押し続けたらギターはどんどん回ってしまいますよね...

 

そこで必要になるのが左手です。

 

 

これまでの左手とギターのポイントを踏まえて、いよいよ左手とギターを合体させてみましょう。

この画像だと体に力が入っているようには見えませんよね。そう、だからギターが上手い人のFコードは、大して力を使わずに握力だけで押さえているように見えてしまうです。

 

でも本当は、この姿勢の中でたくさん全身の筋肉が使われていて、下の画像のように見えない大きな力が働いているんです。

左手を後ろに引く力【A】、ギターを腰と右手で右回りに押す力【B】、この2つの大きな力によりFコードはしっかりと押さえつけることが出来るんです。

 

一見すると力が入っていないように見えますが、赤丸のところに注目してください。

 

服に深いシワが出来ていますよね。

 

これは明らかに、私の胸部にギターのボディが強く当たってできたシワです。AとBの2つの大きな力は、左手をグッと引く力の方が大きくなります。その大きな力に、自分の腰と右手と胸部で押し返して対抗しているんです。

 

Fコードを弾く時、ギターが当たるこの赤丸の部分が『痛い』と感じるくらいの強い力で左手を引いくことが大切です。

 

 

ここまで、強い握力を使わずにFコードを押さえる方法を見てきました。ただ、これまでの説明の中で1つの疑問が湧きます。

 

step2で私の左手の親指にタコができているのを見ていただきました。(下の画像)

親指にタコができるということは、左手もかなりの力を使っている証拠。全身の力を使うとはいえ、やっぱり相当の握力を使っているのではないか?

 

という疑問です。

④Fコードを押さえる時に使う手の力

『結局、親指にタコができるほど相当の握力を使っているのではないか?』

 

という疑問に対する答えは2つあります。

 

【答え1】握力は全身の力の補助的に使う。

 

実は、全身の力が上手に使えると仮にFコードを押さえる時に左手の親指を使わなくても音が出せます。ただそれだと全身の力が相当に必要となり、とても曲を演奏するどころではなくなります。

 

全身の力を主に使っていても、最終的には左手の親指と人差し指でしっかり弦とネックを挟み込む必要があり、そうすることで全身も楽になります。

 

 

【答え2】一般的な握力とは違う力を使っている

 

そしてもう1つ重要なのは、全身の力を使ってFコードを押さえることに慣れていくと、手の力だけでFコードを押さえることが可能になるということ。

 

ただこの場合の手の力は、いわゆる一般的な握力とは違います

 

一般的に、握力を鍛える時や測定する時には、親指を曲げて握ります。一方、step2でもご説明した通り、Fコードを押さえる時には親指は反るほどに伸ばします

 

これにより、Fコードでは普段ほとんど使うことのない小さな筋肉を酷使することになります。

画像の赤丸部分の小さな筋肉です。Fコードは主にこの筋肉を使って押さえます。この部分の筋肉は一般的な握力のトレーニングではなかなか鍛えられません。つまり...

 

Fコードに必要な筋肉はFコードを押さえることでしか培われない

 

ということが言えます。

⑤Fコードを押さえる姿勢の注意点

Fコードに限らないのですが、初心者がギターを弾く時に非常に多い間違えがあります。ものすごく多いので皆さんも注意してください。

 

下の画像のように、左手の形や押さえる場所を目で確認するためにギターを寝かせてしまうことです

ギターを寝かせてしまうと、ご覧のように左手首を異常に曲げなければならないのと同時にギターを体で押すことも出来ません。これでは手の力も全身の力も全く使うことが出来ませんね。

 

ギターは絶対に寝かせてはいけません。

 

左手の形や押さえる場所を見たい時には、猫背になっても良いのでギターは立てたまま自分からのぞきに行きましょう。

⑥step3のまとめ

厳しい言い方ですが「握力が弱いから」というのは言い訳でしかありません。

 

断言します!Fコードは握力が弱くても押さえられます!

 

ただ、Fコードはコードの中でも力が必要なコードであるのは確かです。そのため、全身の力を使って押さえましょう!

 

最適な姿勢をとり、体を上手く効率的に使えばFコードに必要な力は簡単に出せます。始めの内はとにかく全身の力を使てFコードを押さえる練習をしましょう。その時には、6本全ての弦の音が鳴っている必要もありません。

 

全身を使ってFコードを押さえることに慣れてくると、効率的な押さえ方が身に付きます。その時には6弦全部の音がしっかりと鳴っていることでしょう。そして次は、手の力だけでFコードが押さえられるようになります

 

その場合の手の力は一般的な握力とは違います。Fコードを何回も何回も押さえることで鍛えられるとても小さな筋肉の力です。

 

全身の力で押さえる

音が出てギターが楽しくなる

効率的な押さえ方が身に付く

必要な筋肉が鍛えられる

手の力だけでも押さえられるようになる

他のセーハコードにも応用できる

もっとギターが楽しくなる!

 

これがFコードに必要な力の使い方の習得方法です。あと、ギターは寝かさないように!